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2020.06.20 (sat)

レポート

【セミナー後編】「ニューワーカー vol.1 自分らしく仕事をするために〜世界で唯一無二!?の肩書き。ヌードルライターに学ぶ自己ブランディング〜」

2019年12月11日、マークメイザンにヌードルライターの山田祐一郎さんをお招きし、「ニューワーカー vol.1 自分らしく仕事をするために 〜世界で唯一無二!?の肩書き。ヌードルライターに学ぶ自己ブランディング〜」セミナーを開催いたしました。

日本で唯一のヌードルライターとして活躍される山田さんのセルフブランディングの手法や、仕事の広がりについて、ライターのさわだ悠伊さんを聞き手に迎え、伺いました。
「ヌードル」というフィールドに絞った活動をはじめたきっかけや、分野を絞ったことで見えてきたこと、また差別化の先の付加価値を付ける方法など、ライターに限らず、フリーランスの方の参考になるようなお話になりました。
全文を公開しますので、ぜひご覧ください。

【セミナー前編】「ニューワーカー vol.1 自分らしく仕事をするために〜世界で唯一無二!?の肩書き。ヌードルライターに学ぶ自己ブランディング〜」
【セミナー後編】「ニューワーカー vol.1 自分らしく仕事をするために〜世界で唯一無二!?の肩書き。ヌードルライターに学ぶ自己ブランディング〜」

こちらはその後編になります。
 


 

働き方改革

山田:そんな感じに仕事が順調だったんですけど、生活がちょっと荒れたんですよね。

 

さわだ:具体的に思い出深い、すさみエピソードみたいな。

 

山田:体を本当に悪くしますね。働く時間=収入なので、書けば書くほど儲かるみたいな話で。

カメラマンさんとかだと、現場にいかないと写真撮れないですよね。ライターの場合は、カタログみたいに行かなくても書けるものがあるんですね、電話で済んでしまったり。文字量にもよるんですけど、既に知ってるお店だと行くまでもなく、カメラマンさんだけ手配してもらって「テキストは仕上げておきます」みたいな。現場行かなくてもいいので、時間さえあればどんどん書けちゃう。

それで一回、上半身不全みたいになりました。ベッドで目が覚めて、腕が動かない。

 

さわだ:えっ、それは過労なんですか?

 

山田:完全に、限界を超えちゃったんです。目は開くけど体は動かなくて「あ、これは死ぬのかな」って。足で体を動かしてベッドから落ちて、携帯を探してなんとか指の位置までもってきて。両親がそんなに遠くない所にいたので、電話をかけて両親に運んでもらって、なんとか事無きを得た。

 

体を鍛える時間があるなら、その分仕事をしたい。楽しかったんですよね、稼ぐっていうかやりがい。好きな仕事だから基本的に全部受けたいし、頑張ってあげたいのでどんどん仕事しちゃって。お金遣いも結構荒かったですね。日々高いものは買ったりしなかったけど、料理屋に行ってメニュー見ないとか、経費だからって余計なもの買いまくるとか、羽振りが良かった。

 

そうすると、好きなことを仕事にしてたのが、満身創痍の状態では好きなラーメンの記事でもポジティブに書きにくいですよね。好きで居続けるのが困難な時がありました。これはちょっと良くないなと思って。

それで、仕事のやり方を変えた。好きな事をもちろんしてたんですけど、その中でもさらに仕事の選別をした。

あとはギャラのUPですね。元々人が良いので(笑)、フリーランスあるあるですけど高く言いづらいですよね。向こうから言ってくれて高かったらラッキーですけど、自分で安く言うとそのまま通っちゃうし、高く言って仕事がゼロになるのも困るし、っていうジレンマが。

 

さわだ:「予算、見積り出してください」とか本当に苦手です。いくらを想定してるんだろうって。探り合いみたいになっちゃいますよね。

 

山田:僕もほんとに嫌なんですよ。いくら想定してるんだろうっていう、ヒントちょうだいよっていう。 

 

さわだ:ヒントほしいですよね。

 

山田:某自動車会社主催の、ゴールデンウィークに子供探検団みたいな、工場で車が出来る過程を子供たちが記者になってレポートを書くという素晴らしい取り組みがあるんですね。その仕事を知り合いから受けてたんですが、それは納期がぎりぎりで。知り合いからは比較的受けてたんですけど、ヌードルから遠い事はさらに精査して外していくようにしましたね。

 

思い切ってちょっと高くギャラを出していったら、以外と通りました。

 

さわだ:以前仕事したお客さんで、設定しなおして値上がりしても、そんなに「えーっ」とか言われないものですか。

 

山田:レギュラーで受けてた値交渉できない仕事もあって。当たり前ですけど、ギャランティーが先に決まってる。極端に言えば司馬遼太郎が書こうがさわださんが書こうが「ページいくらです」っていうのは交渉のしようがない。

広告関係で、醤油会社さんの文章を書くとか野菜農家さんの企業理念を書くとかそういった代理店仕事の方は、費用管理があるので意外とギャラを言ってくださることも多いんですが。それも来なければ来ないで。

そもそも無理してやってたし体力も限界だし、「空いた時間は休めればいいや」と少し肩の力が抜けて、納品クオリティが上がりました。一本あたりの原稿に長く時間をかけたらいいというわけではなく、構成とかを考えたりする時間の余裕が生まれて、より楽しくやりがいのある仕事が舞い込んでくるようになったと。

 

分かってても勇気がいるし、変えるって本当に怖いんですけど僕はやってみて良かったです。

 

セルフブランディング

山田:付加価値なくして未来なし。

そんな感じで自分の働き方改革をすすめたんですが、またギャラの話をすると、ライターの技術がそれなりにつけば、情報誌は書く速さも変わらないし個性が要らないから、交渉しにくい。

だから、ただ「ヌードルライター」だけでなく目に見えるブランディングが必要だなと。自費出版した本の作り方はかなり考えて「自分はこういったものが好きだ」「こういったデザインを好む」「こういった写真を撮る」というのがはっきりわかりました。自分というのが何なんだというのが。肩書きだけだと世界観、表現とかもう一歩先が目に見えないので、自費出版に挑戦して労働環境がかなり変わりました。

 

ブランディングの意味が、やっとわかったんです。差別化と付加価値。差別化すると勝手に付加価値つくかなっていうイメージがあったんですけど、厳密にいうと違うんですよね。

 

ヌードルライターという肩書ががひとつのブランディングではあるんですが、付加価値までは到達してなかった。上手い原稿を書いて成果物見てもらえれば次の仕事ももらえたりするんでしょうけど、表現したい世界観とか、こういうのを作るんだったらこんな商品についてもできそうとか、可能性みたいなものが見えなかった。それが、本を作ることで見えました。良い原稿、仕事の成果物それ自体ではギャラは多分上がらないですね。十何年してますけど、入ったばっかりの頃と、じゃらんとかは原稿料一緒です。ちょっと早く終わるくらい。

 

本は強力です。目に見えて形もあってずっと残るし、渡したりできますし、分身みたいなものですね。

 

さわだ:成果物や実績は、雑誌だと編集部の意向とかを基に作っていくわけじゃないですか。私たちも要望に答えるのが仕事なので、自分らしく書きたい文章を書きたい放題書けない。そういう意味でも、本というのが、しかも自費出版で自分の好きなことを好きなようにかけるのは非常に分かりやすいですね。

 

山田:そうですね。ライター、カメラマン、編集、全部自分。決裁権があるってことですね、自分に。

 

それでつくったのが『うどんの話』ですね。出がけに忘れて持って来れませんでした、申し訳ない。一時期は鹿児島でも取り扱いがあったんですが売り切れてしまって。

中身を説明しますと、福岡のうどんだけを紹介してます。ここが大きく違うんですが、情報を求める人には役に立たない。情報誌だったら当たり前に絶対入っているであろう、うどん一杯の値段とかが入ってない。何百円の安さに感動したということで入れることはあっても、データ的なものでは入れない。

詳細な地図がないので、これを見て行きたいと思った人が行けない。うどんに関しての記述が一、二行しかない店まである。福岡の博多区にある最強のうどん居酒屋があって、うどんとちょい飲みの店のはしりで、刺し盛りが9点で500円とかおつまみが大体300円から500円でめちゃくちゃ美味いんですよ。締めのうどんも500円くらいでめちゃくちゃいい店、ということを書いてたら最後うどんを書くスペースがなくなって「うどんが最高だ!」みたいな。

それでも「お客さん来たよ!」って喜んでもらえたので、情報じゃないんですよね。気持ち、パッションというか。その場のリアリティというのを追及して、読者の余白をたくさん残した。僕自身が、情報を食べる人に辟易していたんですよね。行く前に本読んできて「何うどんが一番人気で、値段がいくらぐらいで、客層や男女比がどれくらいで、サイドメニューに何が載ってて、出汁に鰹節と何が入って、麺の太さは何ミリ」とか分かってたら、嫌じゃないですか?

 

さわだ:嫌ですね。出汁を吸って、これは何の出汁をとってるのかなって考えるくらいが楽しいですよね。

 

山田:そういうのが余白だと思うんです。こんなこと言ってるから情報誌の仕事が来なくなっちゃってるかもしれないですけど(笑)全部分かりすぎちゃうと、答え合わせをしにいっちゃうんですよね。

店に行って「これが本に書いてあった厚み2cmのチャーシューか、これなんとか豚のロース肉ね」じゃなくて、食べてみて「あ、これは豚骨スープ何時間炊いてるな」とか考える。それを答え合わせしに行ってたら食べてるときもワクワクしないし、同じ食いしん坊な人は特にそうじゃないかな。

バランス感覚というか、うどん屋のインテリアについてめちゃくちゃ書くけどうどんのことは少しとか、麺の事だけ書いて出汁とかトッピングのこと一切書かないみたいな。

 

さわだ:映画であらすじ見てからいくのと一緒ですよね。

 

山田:あ、今度度使っていいですか?(笑)

 

さわだ:どうぞ使ってください(笑)興醒めしちゃいますよね。

 

山田:あとは、装丁も含めて本としての質感にも結構重きをおきましたね。ちょっと高いけど良い紙を使いました。僕は新品の辞書があんまり好きじゃなくて、手垢がついたヨレヨレの物とか萌えるというか、すごくグッとくるんです。読み込まれた読み物が物として好きで、そういう世界観をちゃんと表現できるものにしたいと思って、紙もちょっとザラ味があるもので作りました。

福岡のうどんの本自体はなかったので画期的ではあったんですけど、良い文章とか写真が美しいとかだけじゃなく、全体としての仕上がりが本好きの人がこういう物が読みたかったんだよって思ってもらえる物が作りたかった。営業しないので、置いて欲しいなって思ったところもいくつかあったんですけど、憧れの、京都の誠光社さんからメールが来たときは手が震えましたね。

 

さわだ:へ〜!

 

山田:うどんの話書くにあたっても、僕の指針となるような言葉が書かれたブログがあるんですが、そのご本人からか~と思って。

ほかにも、名店の恵文社さん、大阪のスタンダードブックスとか、それも「ベストセラーは置きません」っていう名物店主とも出会えた。やっぱりそれは、頼まれ原稿とかだとできない。

 

さわだ:できないですね。

山田:セルフブランディング、自分がどう見えて欲しいかということだと思うんですけど、本はそれが実現できて本当に良かったですね。あとは副産物で、本を出したら仕事がやりやすくなった。元々麺の仕事ばっかりやってたのに、さらにやりやすくなった。

新聞社の連載とかは、大体期日とテーマが決まっててリクエストに答えてギャラをもらう。その場合、時間がそこそこかかるんですね。読者層意識したり、クライアントがどういう風な思いを持っているか考えているか噛み砕いたり、お店のことも満遍なく行ってあげたり。

次に出した本も「うどんの話」のテイストで書いたので、文体も自由だし写真も好きなように撮っていい。それが評価された状態になったので、この本を見たクライアントさんからは、このテイストが好きだからこんな風に書いてくださいと。

 

さわだ:最高ですね。

 

山田:自分の書きたい事って、本当に時間がかからないんですよ。同じ時間でも書ける文章量が違ってて、ダーっと書けちゃう。これで喜ばれるのは最高だなって。本を見たクライアントがファンに、好きになっていただいて、こんな感じでお願いしますっていうので話が早いですね。

物があると、相手からしても欲しい成果物にブレがなくなるし、僕からしても早いし負担がなくなるし、モチベーションが高まる。ファンですって言われたら嬉しいもんね。

 

さわだ:そうですね。

 

「麺」から、深みも広がりも生まれていく

山田:もう「ずっと麺を追おう」という事ですね。ヌードルライターとして活動して、麺の事ばっかり考えて食べて全然飽きないし、ずっと麺で行こうかなと。これが最も効率的で、しかもやりがいのある働き方。麺ってすごく良いんですよ。

例えばラーメンだと限定されちゃうんですけど「麺」自体はたくさんある。日本でもうどん、そば、ちゃんぽん、ラーメン、そうめん、色々ありますし、海外に行くとパスタもある。タイに行くとフォーとか。ご当地ヌードルみたいなのが、鹿児島ラーメン、札幌ラーメンとあるように、五島うどん、富山の氷見うどん、きし麺、島原の手延そうめん、日本でも海外でも色々ある。

旅をすれば、ご当地麺との出会いがある。旅のコストがものすごく安い。旅行先で一杯600、700円くらいの麺を食べて、例えば1万2万円くらいの料理を食べた時と同じくらい感動できるので(笑)

 

醤油もお酢も全国津々浦々色々ありますので、調味料と出会えたり、小麦、原材料や、生産者自体との出会いがあったり。旅をするだけでも麺に紐づいてこんなに楽しさがあるし、日々食べるものが麺との比較対象にもなる。「ああ、牛丼の肉は肉うどんの肉とは味付けのスタートラインが違うんだ」とか、他店の麺を食べて自社の麺作りに役立てようとか目利きになったり。

味覚の勉強、高いものはそんなにしょっちゅう食べられないですけど、勉強になる。生産者と出会って、思いがけない食べ方とかするんですよね。茹でないと食べられなさそうなものとかを、生で食べたりとか教えてもらえますし。

本や雑誌をめくっても、色々なものが麺や食に紐づいて知識として吸収できる。コラムの執筆も、クライアントワークだけでなく、自分の「麺」という知識や経験が活かせる。今後は、実際に麺を作ることが文章にも活かせる。

 

麺という1つのくくりで、ヌードルライターで仕事がこれだけ展開して、自分自身色々な楽しさの深みが生まれているというところですね。

 

ヌードルライターを続ける意味

山田:日本で唯一の肩書きというヌードルライター、今後は山田製麺の代表としても製麺に取り組みます。

父から事業承継したんですが、昔は継ごうとは思っていなかった。なんで心境の変化があったかというと、化学変化が生まれそうだなと自分でなんとなく思ったんです。ヌードルライターとして展開していた仕事の中で、「実際に作る」ということが、立体だし食べてもらえるし、可能性がすごく見えてきた。

製麺の技術は父から受け継ぐわけですけど、のれんもそっくりそのまま受け継ぐわけじゃ無い。土台があってその上に、斬新という意味ではなく新しいものを立ち上げたい。これから製麺所がどうあるべきかというのを考えています。しばらくはライター業も少し控えて、製麺業に専念します。少し落ち着いてきたら、来年本が出るかもしれないです。

ヌードルライターという肩書きがあるので、ライターの中に属してるんですけど、製麺所の代表となると、日本で一番文章がうまい製麺所の親父だと思うんですよ。

 

さわだ:そうですね(笑)。

 

山田:だから、そういうのが面白いんじゃ無いかなと思ってます。「日本で唯一のヌードルライターがする本屋」でもすごく面白くないですか。麺の本しか置かないとか。図書館を運営しますでも、肩書きとあり方が頭につくだけで全部オリジナリティーが高まって、どう転んでも目立つし、ライバルはいないし、図書館だったらライバルいるんですけど。

まあヌードルライターになりたいんだよねって、人がいても今から1日1麺食べて、5000何箇所か食べてるんですけど、それくらい食べてもらわないと追いつけないので。僕も食べるので、僕は先に生き続けるから追いつかれないので、この肩書きを大切にしてやることが良いなと思ってます。

 

さわだ:今、ちなみに麺以外で興味あることあります?

 

山田:麺以外ですか。日本酒ですね、好きなんで。日本酒の蔵の記事を書かせてもらったりした事もあって、お酒は良いですよね(笑)。お蕎麦を食べる前にお酒を嗜んで、それからちょっと喉や舌を潤わせてから食べるという、粋なスタイルがある。僕は蕎麦を食べるので日本酒も嗜むし、ラーメンに合う日本酒とかも面白いですし、この前もそういうベントに招かれました。

日本酒は面白いです。地元は宗方というところに住んでまして、宗方日本酒プロジェクトというのがあるんです。大きくは自然の農薬とか使わずに、ジャンボーーとかを使って除草してお米を収穫する。そのお米を、山田錦っていう日本酒にするためのお米として収穫して、それをそのまま売っちゃうより、日本酒になるだけですごい価値が高まる。獺祭とか。付加価値ができて新しくなるっていうプロジェクトを、地元なので応援してるんですけど。

 

日本酒ってお米を削って中身を使うんですけど、削ったところっていわゆる米粉なんですよ。米粉って大体せんべいになるんですけど、米粉ってフォーになるんじゃないかと思って。で、自然農法の山田錦自体がかなり珍しいし、それを使ったフォーになると絶対日本にないし、それを作ってる日本に1人の人だったらすごく面白いなという気持ちもあり。お酒も好きですし、フォーも作りたいなって。

 

さわだ:どう転んでも、やっぱりヌードルにつなげていくのがすごいですよね。

 

山田:多分、ヌードルに繋がりそうなものに興味がむくんでしょうね。

 

さわだ:楽しみですね。まだ、動いてはいない段階なんですか。

 

山田:そうですね、作り方とか調べたり。来年とかにタイとかにいければ良いかなとは思ってますけども。いったんこれでスライドが終わりです。時間すみません、オーバーしてますね。

 

鶴田:はい、山田さんありがとうございました!

 

(会場拍手)

 

質疑応答

 

鶴田:山田さんに20時半くらいまでゆるゆると喋ってくださいと言ったら、結構喋ってくださって、楽しく聞いておりました。ありがとうございます。残り時間少ないんですけども、会場の皆さんから、あ、質問どうぞ。

 

質問者A:ありがとうございます。お話の中にあったかもしれないんですけども、三点ほど簡単にお答えいただけたら。文章、記事を書く原風景、原点などは褒められたりしたことはあったのでしょうか?文章を書く力のことを教えていただきたいです。二点目が、先生が自分の特徴を認める、自分を肯定できる、ファンの方から文章を褒められる表現があったら、言える範囲で教えていただけたらと思います。三点目が、ヌードルライターをしていて、好きな言葉、例えというか名言というか。先生が気づいた言葉があれば教えていただけたらなと思います。

 

山田:最初が、原点ですね。文章書くこと自体はそもそも好きで、小学校の読書感想文で特選とか。本を読むのもめちゃくちゃ好きで、小説とかを古本とか読みあさってた時期も。

原点で言うと、ライターになったきっかけ自体は、ライターになる前にモスバーガーの店長をしてまして。飲食がしたいんじゃなくて独立がしたかった。商売って、ものを売って満足を得てそれに対価が払われる。それでいつか商売したいというのがあったんです。

 

ライターになったのは、すぐ商売しようとしたら失敗しそうだと思ったんです、何も知らないから。ライターなら取材に行くとヅケヅケ聞けますよね。「なんでこれが売れてるのか」とか「なんでこれが入ってるんですか?」とか、「なんで儲かってるんですか、人少ないのになんで回せるんですか」っていうふうに。初めは、そういった経験値をライターならどんどん見れるから最高だな、お金ももらえるしっていう、やましい気持ちで。墓場まで持っていくつもりだったんですけど話しちゃった(笑)。

 

結局書いてるうちに、元々文章が好きだったしすごく良い仕事だと思って、自分の仕事に誇りを持っている。ネガティブなことを絶対書かないんですよ。何が売れてないとかじゃなくて何が売れてるか。役立つことが発信できるのはライターとしてすごく良いなと。あとは例えば一緒に飲みに行って、話してると人生相談みたいに答えが見つかったりとか、役に立ってるので。褒められたからヌードルの方に行ったというのもあるし、経験積んで物差しができて、どんどん面白くなっていったというのもある。

次の質問、なんでしたっけ。

 

鶴田:ライターとして評価される特徴ですかね。

 

山田:僕の文章、優しいと言われるんですね、ありがたいことに。ブログでもなんでも、情報誌とか悪いこと書かないのは当たり前なんですけど、100%加点方式。良いことしか書かないですね。ブログ見ると全部良いから、どれが本当にいいのかわからないじゃないかと。いやいや待ってください、記事にしてること自体が良くて、それが土台ですよと。プラスですね、なので表現も優しくなります。良いところしか見つけないので、それが特徴ですね。

 

あと好きな言葉ですね。僕が敬愛しているデザイナーさんが福岡にいるんですけど、「情報は可能性」と言う言葉を聞いたときに、ストンときましたね。その人はデザイナーさんなので、例えばレイアウトが苦しいからこのキャプションは切っちゃおうとなると、その一言があるから行きたいとなった、その可能性がゼロになるんですよ。なので、情報誌自体は嫌いなんですけど、あれは何でもかんでも載せるから嫌いなのであって、情報自体はもちろんすごく尊重しています。なので、「情報は可能性」と言うのは、僕が書く一言で本当に人が動いたりするから、それは責任が重いですし、ピリピリしながら書いてました。

 

鶴田:ありがとうございました、次の質問どうぞ。

 

質問者B:こんばんは。今日は素敵な話をありがとうございました。聞いていて、仕事に対する好奇心や情熱とか誇りが伝わってきて、やっぱり好きなものを追求して伝えていく、続けいくのが大事なんだなと思いました。質問なんですが、やはり紹介で仕事されることもあると思うんですが、例えばヌードル以外のお仕事、おもちゃ関連とか、全く異業種の事もあると思います。そう言ったクライアントさんと信頼関係を築くにあたって、難しい部分あると思うんですが特に心掛けていることがあれば教えてください。

 

山田:僕は、今までいろんな原稿を書いてきまして、ラグビーに関する記事を新聞で書かせていただいたり、歌舞伎のことを書いてみたり、色々あるんですけど。得意分野ではないのでぜんぜん知らない病院のパンフレットとか。知らないから逆によかったりして、専門用語がわからないので、誰にでもわかる言葉で噛み砕いてそれを外に出すのがライターの役目でもあると思うので、自分の中で咀嚼して出すと言うところですかね。

よく、新聞の基準とかで言うと、幼い子でもわかる平易な文章でかくと言う決まりがあるんですけど、そこですね。自由に書いて良いと思うんですけど、伝わらないと意味がないんですね。もちろん伝わることを意識して、読者に伝わること、読者層でさわださんであれば読者層のその人を思い浮かべて、その人にどう言ったら聞こえるかな届くかなと言うことを考えて書いてますね。

 

鶴田:ありがとうございます、質問どうぞ。

 

質問者C:ブランディングの話、ありがとうございました。ライターとして17年くらいやられてると言うことだったんですが、最初から「1週間〇〇をする」というふうに目標を持っておられたのか、ヌードルライターをどんどんやってく中で高まっていったのか。本を出版しようとしてなられたのか。どちらなんでしょうか。

 

山田:それで言うと後者ですね。スパイみたいな感じで始まって、高い志があったわけじゃないんですけども、いろんな物が見れるっていう。もちろんファッションが自分が好きで、その記事を書けた時は嬉しかったんですけど、書いて楽しいものと買って楽しいものはやっぱり違ったみたいで。だんだんと書いて楽しくて勉強になるのが食べ物で、だんだん麺になって。福岡でうどんの本がなかったんですよ。ラーメンなら情報を得たいときに雑誌とかそういう対象があったんですけど、うどんは無かった。それだったら自分が麺を打てるし、書きたいというのがきっかけですね。無いものを書きたいというところから始まって、自分のブランディングや差別化に繋がるというのは、同時ではなくちょっとだけ後かもしれないですね。まず何を作りたいかがありますね。

 

鶴田:ありがとうございました。他に、ご質問されたい方、お願いします。

 

質問者D:お話ありがとうございました。私の方からは、二点ありまして。一点目が、まず1番最初にきっかけとなったブログは、いまだに更新され続けていらっしゃるのかどうか。

 

山田:あ、1つずつにしましょうか、忘れてしまうので。僕のwebサイトの中にある、【その一杯が食べたくて】っていうブログの前身にあたるものがあって、消してないので残ってます。リニューアルした後のブログの更新は、頻度がちょっと落ちてます(笑)。なかなか難しいところで、ブログはお金を生まない。ブランディングをして仕事が増えてくると宣伝はもう十分足りてるので、アピールする必要が無くなったというか、バランスが悪くなったのでアプリを作ったんですよ。ブログが更新されると現在地からブログにアップされてるお店の情報にアクセスできるアプリに移行して、それからどうしようかなと思ってます。

 

質問者D:ありがとうございます。あと、良いことしか伝えないとおっしゃってましたが、デメリットについて。私もサイトを運営してるんですけど、私は必ず伝えてるんですね。それは読者にとって、それを知らないことが損になるからという風に考えているんですけども、読者の信頼を失う可能性が、デメリットを伝えないことによってあるわけじゃないですか。

 

山田:ありがとうございます。根本的なデメリットになりそうな案件を抱えたお店はまず載せない、書かない。取材先としてまず選ばない。なんでできるかというと、すでに好きで食べているのでいったことがある、下準備、リサーチができている状態なので、自然と淘汰されて入らないですね。

細々とした、例えば山田亭というラーメン屋があって。店主にご夫婦がすごい仲悪くていつも喧嘩してて、その中で食べるのはしんどいなと思うけど、それを上回って味が良いから載せたいという場合は、その夫婦仲のことは僕の方針では書かないですけど、そこはやむなしですね。喧嘩してないときに行けるかもしれないし、昔はどこでも喧嘩してたよねって暖かく見守れるお客さんだったら気にならない、声の大きさも気になるほどでもなかったとか、お客さんの方に委ねられて、致命的な欠点にならないと思えるところを載せます。

 

鶴田:ありがとうございます。他にも質問が出そうなんですがちょっと時間がきてしまいましたので、一旦セミナーは終了したいと思います。山田さん、さわださん、どうもありがとうございました。

 

(会場拍手)